F-REI(エフレイ)について
〈質問〉水野さちこ
福島国際研究教育機構、略称「F-REI(エフレイ)」は昨年4月、福島をはじめ、東北の復興を実現すると共に、世界に冠たる創造的復興の中核拠点として日本の科学技術力・産業競争力を世界最高の水準に引き上げ、経済成長や国民生活の向上に貢献するとして国が設立した法人です。しかし、その活動取り組みの前提として、何よりも福島イノベーションコースト構想の取り組みをさらに発展させる役割が期待され、オール福島で本構想を強力に推進と謳っています。また知事も2月定例会において、エフレイの開設効果を広域的に波及させるため、国や市町村、関係機関と連携した広域ネットワークの形成等を推進するとしています。来年2025年4月には福島ロボットテストフィールドと統合する等、県も県エフレイ調整会議を設置し、運営に関与するとしていますが、その取り組み内容と結果には福島県としても相当の責任を持つものであり、その事業効果の全県的波及効果については常に特段の留意を図り、福島県として検証と対策・対応が必要なものであり、万が一にも「国がやるべきもの」的な行政対応等は決してあってはなりません。そこで福島イノベーションコースト構想のさらなる発展に向け、エフレイと県内の市町村・大学・企業等との連携・促進にどのように取り組んでいくのか、知事の考えをお尋ねいたします。
〈答弁〉内堀知事
福島イノベーションコースト構想をさらに発展させ、原子力災害からの本県の復興再生を実現するためには、エフレイが構想を担う多様な主体と緊密に結びつき、地域と共に新産業の創出につながる研究・開発等を進めていくことが重要であります。先月私が出席をした産学官からなるエフレイの法定協議会では、市町村から連携に向けた積極的な提案があったほか、県内の大学等からはエフレイと進める研究開発の進捗が報告される等、地域との結びつきの輪が着実に広がっていることを実感いたしました。県としては、今年度は県も主催者となって、エフレイ市町村座談会を中通りや会津地方で開催をするほか、福島イノベ推進機構と協力をし、県内大学や企業によるエフレイの研究開発等への参画を促進しております。また来年4月には福島ロボットテストフィールドのエフレイへの統合が予定されており、統合の効果が最大限に発揮されるよう県としても積極的に取り組んでまいります。今後ともエフレイと県内の様々な主体との連携をさらに深め、研究開発等を促進し、構想をさらに発展させてまいります。
観光振興の取り組みについて
〈質問〉水野さちこ
県内の経済を活性化するためにはインバウンドを始め交流人口・関係人口を増加させることが重要です。先月公表された令和5年の県の観光客入り込み状況調査によると、県内の観光客入り込み数は約5392万人となり、前年費で13.1%増えているところですが、一方で県は総合計画において2030年の観光客入り込み数を6200万人とする目標を掲げており、知事も今月(9月)には10日から14日までタイとベトナムを訪問し、チャーター便の運行による誘客、また7月8日から13日には英国・ベルギー・オランダを巡り、欧州からの誘客強化を進めているところではありますが、その達成にはまだ時間がかかると思われます。そのような状況の中、令和8年4月から6月に、本県単独でのデスティネーションキャンペーン、いわゆるDCが開催されます。令和8年は東日本大震災と原発事故から15年という、本県にとっては節目の年であることから、このタイミングで全国から多くの観光客が本県を訪れ、福島の今を見ていただくことは非常に好機であると感じております。このDC開催を起爆剤にし、県内の観光客の入り込み数を増やしていくためには、各市町村等との関わりを深め、それぞれの地域の魅力を積極的に発信し、一過性に終わることなく、それぞれの地域が持続可能な観光につなげていくことが必要だと考えます。そこで県はデスティネーションキャンペーンの開催を景気として、持続可能な観光振興にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。
〈答弁〉観光交流局長
持続可能な観光振興につきましては、令和8年春のデスティネーションキャンペーンの開催に向け、昨日、官民一体となったDC実行委員会を設け、具体的な誘客策等の検討をはじめたところであります。DCでの取り組みを一過性にしないためにも県民一人一人が福島の宝を再認識し、地域の宝を磨き上げ、DC後も継続的な誘客につながるよう市町村等との連携を図りながら持続的な観光振興に取り組んでまいります。
女性の社会進出について
〈質問〉水野さちこ
昨年度の県政世論調査の結果によると、女性の社会参画が進んでいるとの回答割合は21.7%で、2年連続で前年度を下回りました。県は管理職や議員に占める女性の割合が他の都道府県と比べて低い傾向にある現状が結果につがっていると見ているようですが、県総合計画においては、最終年度である2030年度までに現在の21.7から67%以上目指すこととしております。政府が今年の6月に発表した女性版骨太の方針2024では女性活躍男女共同参画のため人材の育成を軸とした取り組みを進めることとしており、やはり女性の社会参画を後押しするためには女性が能力を発揮できるよう女性自身を支援していくことが重要であると考えます。そこで県は女性が社会で活躍できるようどのように支援していくのかお尋ねいたします。
〈答弁〉生活環境部長
女性活躍に向けた支援につきましては女性が能力を発揮できる環境づりに加え、社会の様々な分野において活躍できる女性人材の育成を両輪で進めていくことが重要であることから、女性リーダー育成セミナーなどを通じ、志を同じくする受講者同士の ネットワーク構築を支援するほか、行動や考え方の模範となる女性の事例を特設サイトで発信するなど、女性が社会においてより一層活躍できるよう積極的に支援してまいります。
只見線の維持について
〈質問〉水野さちこ
只見線は平成23年7月の新潟福島豪雨により、橋梁が流失し、会津川口駅から只見駅間が不通となっていたJR只見線については上下分離方式による鉄道復旧方針が取りまとめられ、令和5年10月には全線運転開通1周年を迎え、観光列車SATONO号の運行や今年6月のえちごトキめき鉄道のリゾート列車「雪月花」の運行。さらには8月の秋篠宮文仁親王のご視察など明るい話題が続いており、豪雨災害前の年間利用者を上回る盛り上がりを見せています。また復旧にあたっては黒字の鉄道事業でも国の補助が受けられるよう鉄道軌道整備法が改正され、JR只見線を含む地方の赤字路線の災害復旧に向けて大きな弾みとなりました。このようにJR只見線は復旧後の運行体制を整えたところではありますが、上下分離方式の採用 に伴う運営経費の負担は地元市町村にとって重く、かつ長期に渡るものであり、財政状況はさらに厳しくなるものと懸念されます。またJR只見線の継続的な利活用により、沿線地域の活性化が図られるためには沿線地域のみならず、会津地方全域にわたる観光客受け入れ体制整備を含めた地域振興事業の推進が不可欠であることなど、持続可能な運行体制の維持が大きな課題となっています。会津地域振興のシンボルの1つであるJR只見線が将来にわって、安定的な運行が確保されるよう地元自治体が負担する運営経費について負担軽減を図り、財政支援措置を講じるべきと思います。そこで県は只見線をどのように維持していくのかお尋ねいたします。
〈答弁〉生活環境部長
只見線につきましては、上下分離方式の導入に伴い、レールや枕木橋梁等の鉄道施設を県と会津17市町村が一体となって維持していくこととしております。一方で施設の老朽化や資材高騰等により、維持費用が増加していることから昨年10月に創設された国の鉄道事業再構築事業の活用に必要な計画を策定し、国庫補助のかさ上げ等による自治体負担の軽減を図ってまいります。引き続き、国に対し財政支援の拡充を要望すると共に、必要な財源を確保しながら只見線の維持に取り組んでまいります。
がん対策(禁煙及び受動喫煙防止)について
〈質問〉水野さちこ
9月はがん征圧月間です。今や2人に1人が癌になる時代で、癌は他人ごとではなく身近な病気です。代表質問であったように、まずは、がん検診、受診率の向上による早期発見・早期治療が大切です。県は今年度からスタートした第8次福島県医療計画において癌の年齢調整罹患率や年齢調整死亡率の減少を目指すとしております。がん罹患の予防についての研究からはがん罹患と生活習慣病環境との関係が明らかになっており、生活習慣を改善することで誰でも癌予防に取り組むことができます。国立がん研究センターの科学的根拠に根ざした癌予防ガイドラインによると、タバコを吸う人は吸わない人から比べて何らかの癌になるリスクが約1.5倍高まることが分かっています。また受動喫煙でも肺がんや乳がんのリスクが高くなり、タバコの煙は吸う本人のみならず、周囲の人の健康も損ねるため、がん罹患の予防には禁煙及び自動喫煙防止を推進することが重要です。そこで県は禁煙及び自動喫煙防止の推進にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。
〈答弁〉保健福祉部長
禁煙及び受動喫煙防止の推進につきましては、がんをはじめとする健康への影響の理解促進や禁煙外来の情報提供、空気の綺麗な施設の認証・周知などを行ってまいりました。今年度は新たに、県民アプリを用いた禁煙を応援する企画を実施すると共に、情報誌等を活用し、タバコの健康影響に関するクイズを掲載するなど、幅広い世代に向け、参加型の啓発を行うこととしております。引き続き、がん予防に資する禁煙及び受動喫煙防止に取り組んでまいります。
県立武道館の設置について
水野さちこ
剣道・柔道・弓道・薙刃・空手道・合気道等をはじめとする武道は心技体を一体として鍛え、人格を磨き、道徳心を高め、礼節を尊重する態度を養う人間形成の道であると言われています。内堀知事も合気道三段とのことで、武道精神は人類社会に平和と幸福をもたらすための強力な言動力となるものであることを自ら示していらっしゃるものと思います。殺伐とした現代社会において武道精神を学ぶことは大事であると考えます。だからこそ福島県の武道の拠点となり、公式大会の開催や日常の稽古や指導者講習会・研修会・合宿等で年間を通じて武道の競技力の向上、青少年の健全育成、そして県民の健康保持・増進といった利用しやすい施設整備のあり方を早急に検討し、各団体と意見交換を通じ、県立武道館建設の議論を深めることが必要であると考えます。令和1年には新潟県に武道館が建設されました。そして令和2年には長野県に県産材を活用し、最大3000人収容のコンサートもできるような多目的に利用可能なものが建設されました。東北で県立武道館がないのは福島県のみであります。6月定例会でも高宮議員から同様の質問があり、武道人口の動向と課題の把握に努めているとのことですが、長きにわたる検討に誰かの言葉を借りれば、今こそ決着をつける時期と考えます。そこで県立武道館を設置すべきと思いますが県の考えをお尋ねいたします。
〈答弁〉文化スポーツ局長
県立武道館の設置につきましては、県内における武道人口の動向、各種大会の開催状況、さらには施設の利用見込みや費用など、その課題の把握に努めております。引き続き、武道が果たす役割を踏まえ、既存体育施設の有効利用による方法も含め、本県における武道館の在り方について関係団体と連携し、調査・研究を進めてまいりたいと考えております。
不登校児童支援の取り組みについて
〈質問〉水野さちこ
昨年10月に公表された令和4年度児童生徒の問題行動・不登校生徒指導上の諸問題に関する調査の結果によりますと、全国の不登校児童生徒は約30万人と10年連続で増加しております。本件は1000人あたりの不登校者数は全国と比較して低いとはいえ、増加傾向は変わらず約3500人と過去最高となっております。そのような中、過日文部科学省から空教室を利用して学校内で不登校の児童生徒をサポートする校内教育支援センターの設置率が公表されましたが、埼玉市と川崎市は100%だった一方で、本県の設置率は17.9%と全国より低いことが明らかになりました。義務教育段階という大切な時期にある不登校生徒が安心していられる居場所の確保や学びたい時に学べる機会の提供は欠かせないものと考えます。そこで県教育委員会は公立小学校における不登校児童生徒の支援にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。
〈答弁〉教育長
小中学校における不登校児童生徒の支援につきましては、安心して他者とつがることができる居場所づくりが大切であるため、校内での居場所となるスペシャルサポート ルームを小学校5校、中学校25校に設置し、選任教員を配置してきめ細かな支援を行っており、今後は市町村教育委員会や関係団体と居場所づくり等について情報交換を行うなど連携を強化することで、不登校児童生徒の支援の充実に努めてまいります。
少人数教育を活かした児童生徒の学力向上について
〈質問〉水野さちこ
急激な変化が進む社会の中で生きる子供たちは様々な変化に積極的に向き合う力や周囲の人と協力しながら課題を解決できる生きる力を身につけることが必要です。そのため子供たちの確かな学力の定着と豊かな心の育成に向けた学校づくりが一層求められると考えます。本県では長年にわたり、小人数教育に取り組み、不登校児童生徒数が他県と比べて少ないなど、生徒指導面では成果があるものの、学力向上面においては全国学力学習状況調査の結果が全国平均を下回るなど、小人数の良さをいかした教育を展開していくことが重要であると考えます。そこで県教育委員会は小人数教育をいかした児童生徒の学力向上にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。
〈答弁〉教育長
小人数学級編制や複数の教員による授業を通じて、児童生徒1人1人の状況を把握し、きめ細かな指導を行うことが重要であります。今後は小人数教育の成果を踏まえ、小学校において各教科の指導の質を更に向上させるため、専門性をいかした教科担任制を拡大するほか、指導主事の伴奏支援により、教員の指導力を高めることで、学力向上に取り組んでまいります。