水野さちこ県政報告_令和7年9月総括質問

県政報告_令和7年9月総括質問(2025年10月1日)

地方創生における観光について

①観光による地方創生にどのように取り組んでいくのか。  

水野さち子
地方創生における観光をテーマに質問してまいります。2010年以降の日本では人口減少超高齢社会の危機に直面しています。日本の2024年度の高齢化率は29.3%、将来的には41%程度まで上昇すると言われています。2025年の8月1日現在の福島県の高齢化率は34.2%で過去最高となっています。地方創生の背景にある課題は、都市への一極集中と人口減少の2つであると考えられます。このような状況下で、観光事業は地方創生の大きな鍵となり、いかに地方に旅行者を呼び込むかが重要な課題と考えます。4月から6月末のプレDCの期間中の観光客の入り込み数は1,516万人と目標は超えたものの、2024年の同じ時期の1,532万人には届いていません。知事は人口減少対策を進めていくポイントとして連携・共創。ふくしま共創チームを7月16日始動し、9月8日、ふくしま共創チームの概要が発表されました。そこで知事は、観光による地方創生にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。

内堀知事
観光は観光施設や宿泊施設はもとより、小売店や飲食店、交通機関など多くの方々が関わる裾野が広い産業であり、県内観光の盛り上がりは地域や経済の活性化に直結する重要な要素であります。来年開催するDCは、自然や歴史、文化、食、温かな県民性など、県内各地の資源を創意工夫により、本県ならではの観光の宝へと進化させる絶好のチャンスであります。この機会を的確に捉え、観光コンテンツの磨き上げとともに福島の魅力を国内外へ効果的に発信をすることでもう一度来たい。何度でも来たいと言われる観光地「福島」を地域の皆さんとともにつくり上げてまいります。また、県民の皆さん自身が県内観光を楽しむことも重要です。改めて地元の魅力に触れ、福島への愛着を深めることは、観光の振興とともに地域を活性化する大きな力になると考えております。今後も福島の魅力を高める取り組みを通じて、観光による地方創生を積極的に推進してまいります。

②プレDCを踏まえ、DC本番における観光誘客の更なる促進にどのように取り組んでいくのか、県の考えを尋ねたい。 

水野さち子
今日から10月がスタートしてまして、今年も残り3カ月となりました。4月のDC本番まで約6カ月、プレDCを踏まえDC本番における観光誘客のさらなる促進にどのように取り組むのかお尋ねいたします。

観光交流局長
プレDCでは、JRの特別列車や県内各地の特別企画により、目標である観光客入り込み数1,500万人を達成いたしました。DC本番に向けては、国内外への伝わる情報発信の強化が重要であり、今後、SNSやテレビ等を活用した発信や来年2月から開催される大ゴッホ展等、注目度の高いイベントと連携し福島ならではの観光の魅力を広く丁寧に伝え、観光誘客のさらなる促進につなげていきたいと考えております。

③DCを契機に、県内宿泊者数の増加にどのように取り組んでいくのか、県の考えを尋ねたい。 

水野さち子
9月9日の県のDC実行委員会で、プレDCの観光庁の統計による県内宿泊者数昨年の同じ時期から微増ということで6月に至っては、前年の同じ月よりも0.9%の減となっております。DCを契機に、宿泊者数の増加にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。

観光交流局長
県内宿泊を増やすため、プレDCで実施したツアーバスへの補助やレンタカークーポン等により県内宿泊を伴う旅行を促進するとともに、旅館やホテルにおける宿泊パック等の造成を促すため、早朝や夜間に実施するDC特別企画等を支援していきたいと考えております。宿泊滞在により、本県の魅力を十分に堪能していただき、地域への経済効果をより高めていくため、観光事業者や旅館等、宿泊施設等との連携をさらに強化してまいります。

水野さち子
県内を隅々まで回っていただけば、宿泊数は増えるわけであります。けれども、DC本番に向けてこの周遊促進をどのように取り組んでいくのかお答えください。

観光交流局長
周遊促進につきましては福島県内59市町村それぞれ魅力があると思います。エージェントによる旅行商品の造成はもとより、それぞれの地域の観光協会や事業者と連携をもっと深めていき、本番に向けて、さらに地元の方々と調整してまいりたいと考えております。

水野さち子
先ほど最初に申し上げましたように、地方創生における観光の役割は重要だと思います。その観点から、この地方創生における観光の役割をどのように捉えて進めていこうとしているのかお答えください。

観光交流局長
観光は裾野が広い産業でございます。様々な経済効果をもたらす観光事業者の産業をもうかる産業としてつくっていかなければならないと思ってます。その最大のチャンスがDCと捉え、産業としての観光の強みを活かし、いろいろな連携をして地方創生の一翼を担っていけるようにしてまいりたいと思います。

④ホープツーリズムの更なる推進に向けてどのように取り組んでいくのか、県の考えを尋ねたい。 

水野さち子
本県独自のホープツーリズムの更なる推進に向けて、どのように取り組んでいくのかお答えください。

観光交流局長
ホープツーリズムは複合災害を経験した本県ならではのスタディーツアーであり、来月には大阪にて公式アンバサダーによるセミナーを開催するなど、更なる認知度の向上を図ってまいります。引き続き、DC本番等とも連携し、浜通りはもとより、本県の多彩な観光資源を組み合わせた情報発信等により、国内外からのホープツーリズムへの誘客に積極的に取り組んでまいります。

水野さち子
大阪関西万博にて、7月に県の単独ブースでホープツーリズムを紹介し、また旅行商品の開発も進めたが、大阪関西万博での効果・成果はあったのかお答えください。

観光交流局長
大阪関西万博でホープツーリズムを紹介するブースを設けさせていただき、関西エリアの方々にも注目度は高かったのですが、即福島へ訪れる大きな理由に、即効性が厳しかったかと思いますが、今後も、アンバサダーの灘高の先生にもお願いして、関西圏にホープツーリズムをもっと広げて、これからの誘客にさらにつなげていこうと考えてございます。

水野さち子
2024年度のホープツーリズムに19,071人が参加しましたが、このうちの外国人の参加者数が70人。全体の0.4%、1%にも満たなかったのですが、今後、海外からの参加者をどのように増やしていくとお考えなのかお答えください。

観光交流局長
令和6年度インバウンドホープツーリズムの参加者数は70人でしたが、今年度、少しずつ成果が現れてきておりまして、現時点で訪日による97名の外国人の方々がHOPEツーリズムに参加いただいております。外国人が訪日前に、いかに情報を得るかが大事だと思いますので、今後は多言語化によるSNS等へのアップ、HOPEツーリズムに参加した外国人の方々の情報等をアップして、訪日前に、魅力的な福島のコンテンツ情報が届くよう情報発信を強化してまいりたいと思ってます。

水野さち子
今ほど情報発信とありましたが、その情報発信の一つとして「フィルムコミッション」があると思います。県内の市町村との連携を図り、国内外にアピールするためには福島県フィルムコミッションを設立すべきと思いますが、考えをお尋ねいたします。

観光交流局長
フィルムコミッションについては、福島県の魅力を広く、映画等で発信していただくためにも非常に有効な手段だと私自身も思っております。来年はDCもありますので、県内のいろいろな強みであるコンテンツのレガシー化や映画等に採用していただく取り組みも私自身、重要な取り組みだと思っています。DCの事業の中で、何が今できるか内部で検討しているところでございます。

⑤ 県は、移住や二地域居住の促進にどのように取り組んで いくのか尋ねたい。 

水野さち子
昨年の福島県の移住者数ですけれども、3,799人となりまして、窓口相談件数も12位から9位セミナー参加者も8位から2位と成果が見られますが、今後県は移住や二地域居住の促進にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。

企画調整部長
移住や二地域居住の促進に向け、これまで情報発信関係人口の創出受け入れ体制の整備を3つの柱に据え、さまざまな取り組みを進めてきた結果、本県への移住者数は年々増加しております。今後、さらに移住者等を増やしていくためには、温かい県民性や豊かな自然を初めとする福島の魅力をよりわかりやすく発信していくことなどが重要と考えており、引き続き各部局や市町村等と連携し、効果的な施策の実施に努めてまいります。

水野さち子
相談窓口やセミナーはもちろん大事だと思いますが、移住や二地域居住のきっかけとなるのは、観光もあるのではないかと思います。観光が果たす役割というのは大きいと思うのですが、どのように観光と連携・共創していくのかお答えください。

企画調整部長
移住・定住の促進に当たりましてはさまざまなきっかけを与えることが重要と考えておりまして、ご指摘のとおり観光というのも一つ大きなテーマだと思っております。現在、市町村と連携しながらツアーを組んだり、県内にツアーを組んだり、さまざま検討しておりますが、観光局とも連携しながらさまざまな具体的なアイデアを考えていきたいと思っております。

水野さち子
今の質問をですね。観光交流局長にも伺いたいと思います。観光はやはりこの移住、二地域居住の促進にもつながるものでありますので、これに対してもどのようにこの観光を進めていくのかお答えください。

観光交流局長
本県の移住・定住促進につきましては、観光の魅力、遊びの魅力、福島県が持ついろいろな魅力を広く発信することによって、福島県に多くの方々が移住・定住していただけるように、関係部局と連携して取り組んでまいりたいと思います。

⑥県は、只見線の大雪対策にどのように取り組んでいくのか尋ねたい。 

水野さち子
今年2月の大雪で5月16日の全線開通まで運休となった只見線についてです。只見線の大雪対策にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。

生活環境部長
只見線の大雪対策につきましては、冬期における安全な運行を確保し、地域の生活や観光利用に支障を来さないことが重要であると認識しております。このため、JR東日本に対し、除雪体制の改善を要望するとともに、運休時には代行バスを速やかに運行できる体制の整備について調整を進めてまいります。引き続き、只見線の安全で安定した運行を確保するため、関係機関と連携しながらを行って対策に取り組んでまいります。

⑦県は、只見線の利活用促進にどのように取り組んでいるのか尋ねたい。 

水野さち子
知事は9月16日の定例記者会見で、只見線について復興のシンボル・インバウンドを呼び込む観光資源日本一の地方創生路線を目指してさまざまな取り組みをどうして活性化させていくという話をされています。県は只見線の利活用促進にどのように取り組んでいるのかお答えください。

生活環境部長
只見線の利活用促進につきましては、地域と連携しながら多様なニーズに応じた取り組みを進めていくことが重要であると考えております。このため、紅葉シーズンに合わせた只見線の乗車と沿線での体験を組み合わせた観光周遊バスツアーの実施や、若い世代のアイデアを取り入れた企画列車の運行に加え、会津鉄道のお座トロ展望列車の乗り入れなど、只見線の魅力を生かしたさまざまな取り組みを展開しております。引き続き、沿線自治体や地域の方々とともに只見線の利活用促進に取り組んでまいります。

水野さち子
知事は日本一のこの地方創生路線というようなこともおっしゃっておりますけれども、それに関してどのように進めていこうとお考えなのかお答えください。

生活環境部長
只見線につきましては、豪雨の災害により運転ができなくなったという経緯がございます。その経緯を踏まえ、日本一の地方創生路線にしたいという願いのもと、地元自治体、それから地元の方々と一緒になって日本一を目指したいと考えております。引き続き日本一の地方創生路線を目指しながら只見線の利活用促進に取り組んでまいりたいと考えております。

水野さち子
只見線がまた大雪で5月まで運休が続いたときに、DC本番の観光はどうするのか、お答えいただけますでしょうか。

観光交流局長
今年2月に会津地方を中心として記録的な大雪の影響により只見線の一部区間が不通となり、プレDC期間とも重なったため、沿線自治体への観光入り込みにも非常に影響があったものと認識しております。自然災害等により公共交通機関が不通となった場合には、まずは観光地情報としての当該地域の正確な情報発信に努めるとともに、復旧による回復期以降はその地域の魅力が十分にお伝えできるよう、沿線自治体と連携しながら積極的に取り組んでまいります。

水野さち子
来年も大雪でゴールデンウイーク期間中に運休した場合、DC本番時は困りますので、もう一度どんなふうに力を入れていくのかお答えいただけますか。

観光交流局長
今年、大雪により只見線沿線の一部区間が不通状況になりましたが、奥会津地域は多くの人々を魅了する雄大な自然景観をはじめ、この土地の生活から生まれた編み組細工、からむし織り等の伝統的工芸品、地域に根付いた行事・文化など多彩な魅力があります。県としては来年DC本番に向け、万が一の只見線の運休時においても、回復期やそれ以降において沿線自治体・JRと連携を図りながら地域の宝を発見、発信して只見線の利用につながるように積極的に取り組んでまいります。

⑧武道大会に加え、イベントなどを開催できる県立武道館を設置すべきと思うが、県の考えを尋ねたい。 

水野さち子
県立武道館についてです。関係人口・交流人口の増加には一度にたくさんの人を収容できる施設も必要です。鳥居議員の質問対し、武道やスポーツに取り組みやすい環境づくりに努めるとのお答えでしたが、環境づくりの一つとして、武道大会に加え、大型イベントの開催できる県立武道館を設置すべきと思いますが、考えをお尋ねいたします。

文化スポーツ局長
県立武道館の設置につきましては、競技ごとの会場の確保や既存施設の利用状況、今後の利用見込み等について関係団体との意見交換を行っているところであります。引き続き、利用状況等を精査しながら、イベント等による利用の可能性も踏まえつつ、既存施設の有効活用も含め、本件の武道館の在り方について調査研究を進めてまいります。

水野さち子
意見交換はどんな部署の方々とやっているのか、どのぐらいまでこれが続くのかお答えいただけますか

文化スポーツ局長
関係団体でございますけれども、関係団体として各武道には9つの競技がございますけれども、連合体となった県の協議会がございますので、そちらの団体との意見交換を文化スポーツ局として行っているところでございます。

水野さち子
意見交換大事でありますが、できないことを述べるのではなく、できるための考えをしていただければなというふうに思っております。設置に当たってはさまざまな方式も考えられるかと思います。これが使えるかどうかはわかりませんが、例えばDBFO方式(Design-Build-Finance-Operate)の玉川村「乙な駅たまかわ」は国内三例目となっております。このDBFO方式は民間事業者が施設の設計、建設、資金、調達、運営、維持管理を包括的に行う事業形態であります。こうしたことも一つの考えとして、また武道館だけでなく、そこに宿泊施設や商業施設といったものを複合的にするというような考えも持っていただければなと思いますが、いかがでしょうか。

文化スポーツ局長
県立武道館の設置につきましては、施設の性格上、主に利用が想定される武道の各競技によって大会開催地等の運営上の課題などが異なることから、関係団体から丁寧に個々の事情について状況を聞き取っているところであります。今後とも各種課題や利用状況等を精査しながら、イベント等による利用の可能性も踏まえながら、既存施設の有効活用も含めて本県の武道館のあり方について調査研究を進めたいと考えております。

水野さち子
地域文化。これはふくしま共創チームの中でもあるものかと思いますけれども、観光の面から考えて、どんなふうにお考えなのか、ふくしま共創チームの一員として、どんなふうにこの地方創生に携わるのかお考えをいただけますか。

文化スポーツ局長
交流人口の拡大観光の振興における武道館の役割についてでございますが、そういった集客施設というものがあることについては、交流人口の拡大等が見込まれるかと思います。一方で、武道館という性格上、武道館が果たす役割と、競技団体等の各種課題も踏まえながら検討してまいりたいと考えております。

最後に

水野さち子
転出超過の状況が続き、若手人材の不足や空き家の問題など、地方はさまざまな問題が引き起こされ、自治体の財源を確保するのが困難となっているということで悪循環が生じております。そのような中において、観光誘客による地域経済の活性化、移住による人材の確保は自治体の財源確保の大きな手段であると考えるところであります。こういった面からも、本当にこの観光は何より大事であるということを最後に申し上げ、私の質問を終わります。