
福島ならではの地方創生と人口減少対策の推進について
■ 水野さち子
無所属の水野さち子です。今回の定例会は地方創生・人口減少対策、また福島共創チームとたくさんの質疑が出ておりが、 今回の総括において、私の大きなテーマは「福島ならではの地方創生・人口減少対策について」と題しまして様々な質問をしていきたいと思います。 皆さんご存知の通り、2014年の地方創生のスタートから10 年以上が経っていますが、未だに東京一極集中の是正はなされていません。そして本県の人口は1998年の約 214万人をピークに減少の一途を辿っております。現在約171万人となり、県が2020年に策定し戦略に掲げた「2040年に150万人程度の維持を目指す」とした目標が極めて危い状況となっています。そこで県は2025 年度から2030年度までのふくしま創生総合戦略をまとめました。そして昨年の7 月、人口減少への対策をオール福島で市町村は基より、企業や団体、大学などのオール福島で進める官民連携組織・ふくしま共創チームを設立しました。このチームは、対策に若者の視点を取り入れるようにするものであって 、学生や企業の若手社員でつくるチームも設置し、浜通り・中通り・会津でそれぞれ組織され、地域の企業訪問などを通じて、「働き続けたい会社づくり、住み続けたい地域づくり」の鍵を探っ ているところです。 また今年の成人式を前に、知事は若者と座談会を開いております。この座談の中で出席した若者は「当たり前を疑うことが大切だ」ということを言っております。そして、これに対し知事も答えております。「当たり前を壊さなくてはならないと強く思う。」と、例として知事が企画調整部長の頃は、「施策を議論する審議会に女性の委員があまりおらず、それが当たり前になっていた」とおっしゃっています。ですから、これを壊すことによって男性と女性の委員のバランスを取ったそうです。また知事は「傾聴・尊重・協調」が大事ともおっしゃっておられます。そして、今年の2月18日、学生らによる共創チームの報告会が行われました。この定例会で、浜通りは福島高専、中通りは福島大学、会津は会津大学の学生が「若者の定着環流を促すために必要な取り組み」を提言しています。会津大学の学生の方々がまとめた中の一文が刺激的だったのでご紹介します。「福島県庁の方へ、県が変わることで企業が変わり、人がここで暮らし続けたいと思える。」と言っております。私たちも「当たり前を疑って変えていかなければならない!」ということを強く認識させられました。また、他にも「人口定着の鍵は日常の暮らしと人との繋がりである。」など、様々なことを提言していますが、ふくしま共創チームの取り組みを通じ、若者に選ばれる魅力ある県づくりを進めるべきと思いますが、知事の考えをお尋ねいたします。

■ 内堀知事
若者に選ばれる魅力ある県づくりにつきましては未来の主役である若者の声を丁寧に伺い、官民の取り組みに反映していくことが重要であります。 このためふくしま共創チームを立ち上げ、学生や企業等の皆さんと共に若者の視点から本県の人口減少対策について議論を重ね、その内容を新年度予算案に積極的に取り入れました。先月開催した活動報告会では参加学生から「出ていっても戻って来られる県になってほしい、挑戦を肯定する文化が大切。」など率直な意見をいただきました。若者に選ばれる福島になるためにはこうした想いを正面から受け止め、昭和・平成といった従来の当たり前を令和の考え方にアップデートをし、行動に移していかなければなりません。引き続きふくしま共創チームを通じて、あらゆる主体の皆さんと想いを一つにし、魅力ある県づくりに共に挑戦してまいります 。
ふくしま共創チームの機能強化と移住・人口減少対策の拡充について
■ 水野さち子
7月に設立されましたふくしま共創チームでありますが、設立当初は614団体、1月23日現在では676団体と微増であります。新年度はこの企業団体に補助金による人口減少対策の活動支援がされるというわけですが、ふくしま共創チームの取り組みをさらに強化すべきと思います。現在、この676団体の方々は大変意識の高い方々が入っており、残念ながら地域の中心となるような企業の加入が進んでいないように見えます。意識の高い方だけの意見を聞いていては定着・還流につながらないのではないかと思いますので、もっと一般の方々の意見を吸い上げることが必要ではないかと考えます。また、郡山市では新年度に地域活動に意欲のある若者20名をZ世代活躍係のパートナーとして委嘱する取り組みを行うとのことですが、県でも同様の取り組みをしてはどうかと考えます。さらに、本県の移住施策について、福島くらし&しごとフェア2025は231組の来場、相談件数761件という実績ですが、都内開催としてはもう少し来場者を増やすべきではないかと考えます。来場者が増えることが移住者の増加につながると思われるため、情報をしっかり分析し、来場者増加に向けた取り組みを進めるべきではないかと考えます。
■ 企画調整部長
ふくしま共創チームにつきましては、様々な企業等に参画いただき、共に取り組む主体を増やしていくことが重要と考えております。そのため新年度は補助金を創設し、チーム会員が主体となって同業種の企業への意識啓発を図る取り組み等を支援することで会員の増加につなげるほか、参加学生が地域の企業等を訪問し対話する機会を増やすなど、取り組みを充実させてまいります。また、現在676団体ではありますが、これをさらに増やしていくことが重要であり、業界団体が主体となって幅広く声をかけていただくことや、企業同士のつながりを活かし、行政からだけでなく企業同士による働きかけを通じて意識の向上を図るなど、様々なチャンネルを活用して工夫して取り組んでまいります。郡山市の取り組みについては話を伺いたいと考えておりますが、人口減少対策においては若い人たちの意見をどれだけ多く効率的に聞けるかが重要であり、来年度は企業訪問の機会を増やすとともに、若い人の声をさらに聞くための取り組みを進めてまいります。福島くらし&しごとフェアにつきましては、移住希望者が転職や住宅等について複数の市町村と時間をかけて相談する場として実施しており、来年度は出展者の拡大を図るとともに、人流データを活用し、本県を訪れたことがある方へデジタル広告を重点的に配信するなど、効果的なPRを行い、来場者数の増加につなげてまいります。
若者や女性に選ばれる魅力ある職場づくりと企業の意識改革について
■ 水野さち子
若者や女性から選ばれる職場について、2月18日の報告会において福島高専のまとめでは、風通しのいい職場として人間関係の改善や心理的安全の確保が挙げられており、若者が考える企業の魅力の一つとして、意識改革がしっかりとされ、多様性があることが求められていると感じます。また、若者はトップダウンの経営から全員参加型の経営への進化を求めており、「当たり前を疑うこと」を大事にしていると考えます。ふくしま創生総合戦略のモニタリング指標では、県内に魅力を感じる企業があると回答した県民の割合は令和6年度で29.4%であり、令和12年の目標値は67%とされています。現在の約倍となる目標であり難しいと感じますが、この目標値にどのように近づけていくのか、企業の意識改革も含めた県の考えをお尋ねいたします。
■ 商工労働部長
企業の意識改革につきましては、若者等が就職先を選ぶ際に働きやすさや自身の成長の機会等を重視している点を踏まえ、就労意識や価値観の転換の必要性を学んでもらうセミナーを開催してまいりました。新年度は、若者等の採用で成果を上げている取り組みを経営者等が視察する機会を設け、成功事例の横展開を図るなど企業の意識改革に一層取り組んでまいります。また、ふくしま共創チームの若者からは、就業制度の整備・充実や職場の風土、経営者の意識を重視するという声があり、新年度は県内企業を対象に実効性のある働き方改革を促進するため、経営者向けトップセミナーの開催や専門家による伴走支援、先導的なモデル企業の創出等を通じて意識改革を進め、若者や女性の県内就職の促進につなげてまいります。その上で、目標数値に近づけるよう取り組んでまいります。

若い農業者の確保と持続可能な農業経営の推進について
■ 水野さち子
若い農業者の確保について、現在、気象変動や災害、資材の高騰により農業者は年間2,000人ペースで減少し、平均年齢は70歳を超え、70代が44.7%を占めるなど大変厳しい状況にあります。また、農林水産省の調査では、10年後に営農する人が決まっていない農地が50%近くになるとされており、将来への懸念が大きいと考えます。こうした中で、若い農業者の確保に向けて、儲かる農業の実現やブランド力の強化、スマート農業の普及による生産力の向上、年間を通じた経営安定と雇用の確保、農業形態のモデル確立の普及が重要であり、さらに後継者を探す農家と独立を希望する雇用就農者とのマッチング支援を強化するなど、一歩踏み込んだ対応が必要ではないかと考えます。また、現在行われている新規就農者への伴走支援について、どの程度の成果があり、何組程度支援されているのかについてもお尋ねいたします。
■ 農林水産部長
若い農業者の確保につきましては、農業が将来の職業として選択されるよう高校生向け体験の実施や、地域で活躍する若い農業者のロールモデルの発信等に取り組んでおります。また、移住就農の促進に向けて、営農計画作成のための現地視察等に要する費用の支援やドローン等を活用したスマート農業の実践的な研修を実施するなど、意欲ある若い農業者の確保に取り組んでおります。
さらに、県農業経営・就農支援センターを中心に、就農希望者と雇用を希望する法人とのマッチングを進めるとともに、新規就農者が経営安定するまで寄り添った伴走支援をきめ細かに行うことで、就農後の定着につなげていくことが重要と考えております。なお、伴走支援の具体的な成果や件数については、現時点では把握しておりません。
誰もが活躍できる社会の実現に向けた女性活躍の推進について
■ 水野さち子
女性活躍社会について、ふくしま創生総合戦略の基本目標の一つに「1人1人の夢や希望が叶う社会をつくる」と掲げられております。地方創生の推進にあたっては、1人1人が個人として尊重され、誰もが活躍できる多様性を理解した社会づくりを進めていくことが重要であると考えます。こうした観点から、県は女性活躍社会の実現に向けて、どのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。
■ 生活環境部長
女性活躍社会の実現につきましては、女性が持てる力を十分に発揮し、自分らしく活躍できる環境づくりが重要であります。このため経営者の意識改革や性別役割分担意識の解消等に向けた取り組みに加え、新年度は企業と連携し、共に協力し家事を行う「共家事」の実践拡大などに力を入れることとしており、今後とも官民一丸となって女性の実現に取り組んでまいります。
若者の県外流出防止に向けた職場環境整備と働き方制度の課題について
■ 水野さち子
職場環境について、若者の県外流出に歯止めをかけるためには、ワークライフバランスの推進など働き方も含め、若者に選ばれる職場環境づくりを進めることが重要であると考えます。県としても若手職員が働きやすい職場環境を整備すべきと思いますが、どのように考えているのかお尋ねいたします。また、新年度から導入される県職員の選択的週休3日制度については、総勤務時間を維持したままの制度であるため、取得しやすい部署と取りにくい部署が生じるのではないかと考えます。特に窓口業務などでは制度の利用によって業務に支障が出れば県民サービスの低下につながるのではないかと懸念されますが、取りにくい部署への対応についてお尋ねいたします。さらに、首都圏で導入されている短時間正社員制度について、メリット・デメリットがある中で、県としてどのように考えているのかお尋ねいたします。
■ 総務部長
働きやすい職場環境の整備につきましては、ふくしま共創チームの学生や若手職員からの「生産性が高く柔軟な働き方が魅力的」との意見を踏まえ、新年度からフレックスタイム制の導入やオフィス改革に取り組むこととしております。今後も若者の視点を大切にしながら、職員が能力を最大限発揮できる職場づくりを推進してまいります。また、制度の活用にあたっては十分な周知を図るとともに、業務効率化による勤務時間の縮減に努め、職員が制度を利用しやすく、仕事と生活の調和を図れるよう取り組んでまいります。窓口業務のある部署については、管理職が勤務の交代時間を適切に管理しながら、選択的週休3日制を活用できるよう対応してまいります。なお、短時間正社員制度を含め様々な制度については、幅広く研究してまいりたいと考えております。


若者の定着・還流につながるキャリア教育と地域教育の推進について
■ 水野さち子
キャリア教育について、海外ではホワイトカラーやブルーカラーといった考え方もありますが、若者の定着還流においてはキャリア教育が重要な要素であると考えます。県教育委員会は、公立学校におけるキャリア教育にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。また、キャリア教育は単に仕事を学ぶだけでなく、地域への愛着を育むことが重要であり、福島大学の発表でも、地域の歴史や文化、産業を学び、地域住民や企業とともに学ぶことで地域への親しみや将来像の具現化、地域とのつながりが生まれ、自分の居場所をつくることにつながるとされています。若者の定着・還流のためにも地域教育の強化が必要と考えますが、教育委員会の考えをお尋ねいたします。さらに、「働くことは誰かを喜ばせること」であるという視点を子どもたちに伝えていくことも重要であると考えますが、その点についてもお尋ねいたします。
■ 教育長
公立学校におけるキャリア教育につきましては、地域での学びを通して勤労観や職業観を育むことが重要であると考えております。そのため、地域住民等と協働した体験的な学びや地元企業との連携による実践的な学びを通じて、児童・生徒の地域への愛着の醸成と社会的・職業的自立に必要な力の育成を図っております。また、新年度は「地域と学ぶ」をキーワードに、小中高を通じて探究的な学びを展開し、地域の課題や歴史、文化などを題材に児童・生徒自らが問いを立て、情報を収集・分析し解決策を考える学びを通して、地域への愛着を育むとともに、将来的に県内での就業や定住につながるよう取り組んでまいります。
さらに、各学校では職場体験を通じて地元企業と関わりながら仕事の達成感や職業観を体験しており、こうした経験を通じて子どもたちの仕事への意欲を育んでまいりたいと考えております。
地域力を育む教育の充実と学校・企業連携の強化について
■ 水野さち子
最後に、若者が定着・還流するためには地域力を学ぶことが重要であり、そのためには学校と企業の連携が必要であると考えます。県の雇用労政課では、若者の将来的な県内定着に向けて「あなたの未来を福島で探す本」として企業ガイドブックを作成し、小学校4年生と中学1年生に配布していますが、地域教育においては学校と企業の連携が重要です。こうした観点から、地域教育について企業との連携をどのように図っていくのかお答えください。
■ 商工労働部長
地域に対する愛着につきましては、幼稚園や小学校、中学校などそれぞれの段階に応じて、地域の企業や文化を知ってもらうことが、将来的に県に戻ってきたい、戻って仕事をしたいという意識の醸成につながると考えております。そのため、企業ガイドブックについても対象を絞って作成しており、若いうちから県内での定住・居住につながる取り組みを進めることで、若者の定着・還流に貢献してまいりたいと考えております。
■ 水野さち子
最後に、働くとは「誰かを喜ばせること」であり、地域の企業とつながり仕事を学び、地域を育むことが若者の定着・還流につながるものと考えます。また、当たり前を当たり前と思わずに取り組んでいくことが重要であると考えます。
以上で私の総括を終わります。ありがとうございました。
水野さち子県政報告vol.5

